アキレス・ソルボ 開発の想い/増山敦子さん
「日々を幸せに、心地よく」
アキレス・ソルボ 開発の想い
増山敦子さん
「日々を幸せに、心地よく」
2022.11.01
“一歩をつつむ、心をほどく。”というコンセプトを掲げる「アキレス・ソルボ」はブランド立ち上げから今に至るまで、最高の履き心地を目指して挑戦と改善の日々を重ねてきた。
企画開発やパターン、デザインに30年近く携わってきた増山敦子さんに「アキレス・ソルボ」の開発、そして靴づくりにかける想いについて話を聞いた。
そのストーリーを知れば、明日も楽しいあなたの一歩が踏み出せるはず。
増山さんが伝えたい「アキレス・ソルボ」の一番の魅力。
--長年「アキレス・ソルボ」に携わってこられたと思います。改めてどんなところが魅力でしょうか。
「やはり履き心地です。企画開発やパターン、デザインを担当してきて、そこは非常に力を入れて取り組んできました。一つの靴を作るのに何パターンかを試作し、自分で履き心地を試します。少しでも気になる点があると、それはお客様にも伝わるので、履いては直し、直しては履きの繰り返しです。そこに妥協は一切ありません。」
--デザインのアイデアはどんな時に浮かびますか。
「街を歩いている方の靴やバッグをみてアイデアが湧くことはもちろんですが、例えば車など人が長く使用するもの、靴以外のものからインスピレーションをもらうことは多いですね。時代とともに好まれる色も変わってきていて面白いんです。『アキレス・ソルボ』のデザインを始めた頃は、落ち着いた色は年齢層が高めの方が好む印象でしたが、今では赤やオレンジなど明るい色が人気で、若い人たちは白や黒など落ち着いた色が多いなと思います。そんなことを思いながらデザインしている時間はとても楽しいです。」
--なぜそこまで突き詰められるのでしょうか。
「私たちの仕事は靴を作ることの先にある“お客様に喜んでいただくこと”がゴールです。どれだけ良い靴を作っても気に入ってもらえなければ意味がない。“毎日履きたい”と思ってもらえるにはどうしたら良いかを常に考えています。また一人ではなく、デザイナーやパタンナー、生産スタッフ、販売スタッフなど、その靴に携わる人たちと意見のすり合わせをしながら作っているので、チームで作り上げた達成感がありますね。」
製作期間は3年。至福の履き心地への挑戦。
--靴を作っていく上で一番大変だったことはどんなところですか。
「『アキレス・ソルボ』の履き心地に関する魅力の一つに、足の裏を歩くための形に持ち上げる『アナトミー設計』があります。これは当社の長年に渡り蓄積された技術をベースにしていましたが、さらに良い履き心地を追求するため、当社の技術は生かしつつも新たに学術的アプローチを取り入れ、足裏本来の形を忠実に再現することに注力しました。」
--3年とは驚きです。やはりこれも試行錯誤の連続でしたか?
「設計→靴の試作→歩行試験→改良というサイクルを何度も行いました。歩行試験で得られた足圧分布データをもとにアーチ部分をミリ単位で調節する地道な作業はとても苦労しました。さらに発売時期が迫ってくる中でなかなか納得のいくものができず発売時期を遅らせてもらうこともありました。その時、ここまでやったのに妥協して発売する訳にはいかないという想いが一番に湧き、“納得のいくものができるまで発売しない”というこだわりを貫いて現在の商品完成まで至っています。」
--完成した新たな「アナトミー設計」の靴は具体的にどう変化しましたか。
「本来の自然な足の形を保てるようになり、かかと部と中足部(足指の付け根から土踏まずまでの間)の接地面積が増加しました。その結果、足裏にかかる圧力が分散し、至福の履き心地をかなえる靴ができあがりました。」
毎日笑顔が溢れる魔法の一足になりますように。
--靴を作っていて幸せだと思う瞬間はどんな時ですか。
「やはり履いている方を見かけた時ですね。“この靴に出会えてよかった”という言葉をいただくこともあり、その一言で苦労がすべてなくなります。だからずっとこの仕事を続けているんでしょうね。」
--増山さんが気に入ってる靴について教えてください!
「やはり長い期間かけて開発した新たな『アナトミー設計』が搭載された『C526』モデルです。程よいボリューム感のあるコロンとしたフォルムがサボのような雰囲気もあり、可愛いのと優しい印象も与えてくれます。私はかなり履き込んでいるので色を補修してお手入れしながら大切に履いています。」
右から「C527」モデル¥23,100(税込)、増山さんのお気に入り靴「C526」モデル¥23,100(税込)、「C528」モデル¥23,100(税込)
--増山さんはどんな人に「アキレス・ソルボ」を履いてもらいたいですか。
「そこにこだわりはなく、心地よいものを求める方に履いていただきたいです。例えばすごく気持ち良いソファに座ったり、お日様に当たった暖かい布団で寝たりする時って誰もが自然と気持ち良くなって笑顔になっていると思うんです。それと同じように『アキレス・ソルボ』に足を入れた瞬間、笑顔になってほしい。『アキレス・ソルボ』を履くことで、笑顔になれる魔法をかけたいです。」
Photographer:Ayako Masunaga Interview & Text:Saki Shibata